機能性
衣類や雑貨等の繊維製品で一般的な基本性能(染色堅ろう度、耐洗濯性、物性等)を満たしていることは必須となっていますが、その他に更にあると嬉しい性能が「機能性」です。この「機能性」は各社から様々なネーミングで性能をうたい、商品に付加価値を付けて発売されています。例えば、身体から発生する水分を吸収して発熱する「吸湿発熱性」、汗等の臭いを軽減する「消臭性」、汚れを付きにくくしたり落ちやすくする「防汚性」等、多種に渡る性能があります。ここではこれらの中から一例をご紹介します。
吸湿発熱性(サーモグラフィ)

吸湿発熱繊維とは、身体から発生する水分を吸収して発熱する繊維のことで、そのような繊維でできた製品の機能性を比較評価する試験を「吸湿発熱性試験」と言います。当社ではサーモグラフィを用いて加工品・未加工品の生地表面温度を測定します。下記は時間の経過とともに表面温度変化を「温度分布」と「グラフ」で表しています。

消臭性
「汗臭」や「加齢臭」「ペット臭」「生ごみ臭」など、生活に密接した不快臭を抑制したいという消費者のニーズが高まり、私達の身の回りには様々な消臭加工をうたった製品が増えてきています。
同じ消臭加工が施されていても、素材や使用部位によって加工の有効性が変化するおそれがあります。

検知管法
試験方法サンプリングバッグに試験片(100cm2又は1.0g)及び規定濃度の臭気成分ガスを3ℓ入れ、2時間後の成分濃度を検知管により測定します。

ガスクロマトグラフ法
試験方法500mℓ三角フラスコに試験片(50cm2又は0.5g)を入れ、規定濃度の臭気成分のエタノール溶液を滴下し、封をします。フラスコ内のガスをガスクロマトグラフ(GC)にて測定を行います。

形態安定性
「しわになりにくい」「イージーケア」「ノーアイロン」等とうたわれた「形態安定加工」が施されたシャツ等の製品が多く流通しています。「形態安定性」とはそれらの製品が繰り返し洗濯後にどれだけきれいな形を維持しているのかを評価する検査です。

形態安定性の評価
試験方法形態安定加工ワイシャツ評価方法(アパレル製品等品質性能対策協議会法)

抗菌性
繊維製品に付着した菌の増殖による悪臭を抑えるため、加工を施した製品があります。
抗菌性試験は、抗菌加工を施した繊維製品の抗菌性を評価する方法です。

菌液吸収法による抗菌性試験
【試験方法】 JIS L 1902繊維製品の抗菌性を静菌活性値又は殺菌活性値によって評価します。
(細菌の種類:黄色ぶどう球菌、肺炎かん菌、緑のう菌、大腸菌)
殺菌活性値(L) L=Ma-Mc

Ma:標準布の試験菌接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mb:標準布の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mo:加工試料の試験菌接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mc:加工試料の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
防汚性

「清潔な状態を保ちたい」や「取扱いが簡単」のニーズから、<汚れが付着しにくくする>又は<汚れを落ちやすくする>等の汚れに対する加工(防汚性)が施された製品が、近年増加傾向にあります。
2012年(一社)繊維製品技術協議会による“防汚加工SEK認証マーク制度”が始動しました。防汚性を評価する方法は多数あり、汚れの種類に応じて試験方法が異なりますが、ここでは親油性汚染物質に対する繊維製品の防汚性を評価する方法についてご紹介します。
滴下拭き取り法
試験方法 JIS L 1919 C法(滴下ふき取り法)<汚れにくさ>
試験片(10×10cm)に人工汚染物質0.1mlを滴下し、1分間放置後、ろ紙で軽く押さえて余分な汚染物質を 吸い取り、汚染用グレースケールにて直ちに判定を行います。
<付いた汚れの落ちやすさ>
「汚れにくさ」の判定を行った後、洗濯処理し、自然乾燥後汚染用グレースケールにて判定を行います。

保温性

冬物衣料に求められる機能性の一つに保温性があります。保温性とは温度を保つ性質のことをいい、衣服内に静止した「空気」が多ければ多いほど保温性は高まります。保温性に優れた製品は、空気を逃さないよう「素材」「組成」「厚さ」「編み方」「織り方」などで工夫されており、そのような繊維製品や生地の保温性を評価するのが「保温性試験」です。
保温性試験機の熱板の上を試験片で覆い、一定時間置いた後に熱板が温度を保つ為に費やした消費電力(a)を測定します。また、試験片がない状態の熱板でも同じように消費電力(b)を測定し、下記の式に従って保温率を算出します。算出した数値が「100」に近いほど保温性が高くなります。
はっ水性
はっ水(水をはじく)加工が施された様々な製品が私たちの身の回りに多く流通していますが、その性能値について確認や検証はされていますか?当社では訴求内容やアイテム別に適切な評価試験をご提案いたします。


紫外線遮蔽率
セラミックスを練りこんだ繊維や、紫外線吸収剤による後加工などによって紫外線を遮蔽する加工がされています。そういった紫外線遮蔽率を性能評価のために行う試験です。
全波長域平均法 ※
分光光度計により、波長域280~400nmの紫外線について透過率(%)を測定し、次式にて遮蔽率を求める方法です。

TEL.043-298-2175(中央)
TEL.06-6310-8494(関西)